企業情報

KOAのふるさと経営

ビジョン:目指す理想(メッセージ)

企業とは、何のために存在しているのでしょうか。

KOAは、世界恐慌で疲弊していたふるさと・伊那谷を立て直すため、この地に新たな産業を興したいという思いから、1940年、向山一人によって創業されました。それから80年以上が経ち、KOAは抵抗器という小さな部品で、世の中を快適にする電子機器を陰ながら支えるグローバルカンパニーへと成長してきました。抵抗器は、スマートフォン、自動車、産業機器、医療機器などの中で、電子回路という基盤を支えています。

一方で、KOAが創業以来変わらずに大切にしてきたものが、“ふるさと”への想いです。水があり、森があり、田畑があり、働く場があり、家族や地域とのつながりがある。そうした生命と暮らしの基盤があるからこそ、人は安心して働き、次の世代へと営みをつないでいくことができます。

電子機器を支える「社会の基盤」と、人と自然がともに生きていくための「生命の基盤」。KOA は、この二つの基盤をともに支え続ける企業でありたいと考え、企業としての経営だけでなく、地域の発展も含めた「ふるさと経営」に取り組んでいます。 

100年企業に向けて、これからも地域に根差したグローバル電子部品メーカーとして、世界の産業を支えながら、伊那谷というふるさとの自然・文化・暮らしを未来へ手渡していきたい。そんな思いを胸に、このページでは、企業と地域、そして地球が共に豊かになっていく、ふるさと経営の考え方についてご紹介します。

 

創業の精神「農工一体」と「循環・有限・調和・豊かさ」

ふるさと経営の源流は、創業者が掲げた「農工一体」にあります。養蚕農家の次男として育った向山一人は生活の貴重な糧であった養蚕業が、世界恐慌で衰退し、経済的に貧しかった農村に、新たな電子産業を興しました。銀行の反対を押し切って、過疎地に積極的に工場をつくり、農家を続けながら、工場勤務ができる「半農半工」の環境を整備。このように農村の基盤である農業と、発展の基盤となる工業を一体化させるふるさとを一代で築きました。

その後、2代目社長・向山孝一もその意志と郷土愛を引き継ぎます。当時、問題となっていた環境問題に目を向け、地球という人類共通のふるさとにその視野を広げ、これからの世界が向かうべき価値観として、「循環・有限・調和・豊かさ」への意識の変容を提唱。地球環境と共生する循環型の地域社会を作るための様々な取り組みを育み、ふるさと経営を深化させていきました。

 

例えば、1994年から森と共に生きる術を学ぶ「KOA森林塾」を開催して延べ1000人を超える森林業人材を育成してきました。

また同年、世界に先駆けて廃棄物を資源として再利用する仕組みの研究と実装に取り組む「リサイクルシステム研究会」を立ち上げ、域内の資源循環を実現。

1996年からは、地域循環的な暮らしや文化の保全・継承を支援するための「伊那谷財団」を設立し、これまで1億5,000万円以上の助成にも取り組んできました。


地域コミュニティの持続性が、企業の持続性を支える。 「企業経営」と「ふるさと経営」

では、なぜ一見すると本業である電子部品の製造に関係のない地域づくりにKOAは取り組んできたのでしょうか。

そのヒントとなるのが、KOAの定款にも刻まれている、「5つの主体」という考え方です。会社のステークホルダーは、株主、お客さまのみならず、社員・家族、地域社会、そして地球までを含み、それぞれとの信頼関係を育んでいくことが、KOAにとっての企業価値だという考え方です。

なぜなら、KOA で働いてくれる社員や、社員を支える家族や地域コミュニティのおかげで、会社は安定的に事業を営むことができています。そして、水やエネルギーなど事業活動で欠かせない様々な資源を育んでくれるのも、生命の基盤である、ふるさとがあるからです。

つまり、無数の経営資源を育んでくれる地域が持続可能だからこそ、企業も安定的に成長することができる。ふるさと経営とは、単なる地域貢献ではなく、経営基盤の持続性を高めるための投資であり、サステナビリティ戦略なのだと私たちは考えています。

1940年から続く、 循環型地域社会に向けたモデルづくり

KOAは創業当初から、ふるさとの自然風土や伊那谷の様々な活動プレイヤーと連携して地域と調和した経営に取り組んできました。

その根底にあるのは、私たちのふるさと・伊那谷という“小さな地球”での循環型モデルを生み出すことが、地球という人類全体のふるさととの共生につながるという思いです。

ここでは、1940年から育んできた、地域循環・調和モデルの一部をご紹介します。

農工一体| 農業と工業の一体化で、ふるさとを再生

KOAの創業の精神は、「農工一体」という言葉に込められています。創業者・向山一人が生まれ育った伊那谷は、かつて農業と養蚕に支えられた地域でした。しかし、世界恐慌によって繭の価格が大きく下落し、農家の現金収入は失われ、名古屋など都市部に出稼ぎに行かなければならなくなるほど、ふるさとの暮らしは深刻な困難に直面しました。

その現実を前に、創業者・向山一人が聞いた「時代の声」は、農村に新たな産業を興すことでした。お百姓がお百姓として暮らしていけるように、工業によって現金収入の道をつくる。農業を捨てて工業へ移るのではなく、農業と工業の二足のわらじで、地域に根を張りながら暮らし続けられるふるさとをつくる。それが「農工一体」の出発点です。

KOAは、抵抗器という小さな電子部品をつくる会社として歩み始めました。しかし、その根底にあったのは、単に製品をつくることではありません。地域に雇用を生み、若者がふるさとで働き、家族と暮らし、田畑や山々とともに生きていける基盤をつくることでした。

その後、KOAは伊那谷から日本各地へ、そして世界へと事業を広げてきました。けれども、事業がグローバルに広がっても、私たちの足元にはいつも伊那谷があります。ふるさとの暮らしを支えるために産業を興す。地域に根を張りながら、世界のものづくりを支える。この「農工一体」の精神こそ、KOAのふるさと経営の原点です。

 

定款改定|「5つの主体」とマルチステークホルダー経営

2025年、KOAは企業理念を定款に明記しました。

定款とは、会社の基本的なあり方を定める、いわば「企業の憲法」のようなものです。そこに企業理念を記すことは、単なるスローガンを掲げることではありません。創業以来大切にしてきた精神を、これからの経営判断の根幹として明確にし、未来へ受け継いでいく意思表示です。

定款では、企業価値をKOAの理念に沿って再定義しています。KOAが考える企業価値とは、お客様に価値を届けること。社員と家族が安心して働き、暮らせること。地域社会が豊かであること。地球環境と調和し、未来世代に負荷を残さないこと。それらすべてが重なり合って、KOAにとっての企業価値は育まれていくと考えています。

そのように、定款への理念の明記は、KOAがこれからも「企業経営」と「ふるさと経営」を両立し、5つの主体すべてにとっての価値を高めていくための、未来への約束です。


定款の改定内容

(企業理念)

第2条 当社は以下を企業理念とする。 KOA は、ひとりの青年が、生まれ故郷である貧しい農村の生活基盤づくりと安定した暮らしを実現しようと興した会社である。 お百姓がお百姓として暮らしていける現金収入の途を工業でつくること、それが創業者の聞いた時代の声だった。 その意志を受け継ぎ、また、今の時代に耳を傾けたとき、私たちは「株主様、お客様・お取引先様、地域社会、社員・家族、地球という KOA を支えていただいている『5つの主体』との間に、強い信頼関係を構築する」を企業の使命とした。私たちはこうした皆様とのご縁に恵まれたことに感謝し、お付き合いの中で学ばせていただきながら 5 つの主体すべてにとっての企業 価値を高めるために、取り組んでいく。

伊那谷財団|企業活動の実りを、ふるさとの未来へ循環させる

KOAのふるさと経営を象徴する取り組みのひとつが、伊那谷財団です。

伊那谷財団は、循環型の地域社会モデルを研究・実践するため、1996年に「一般財団法人伊那谷地域社会システム研究所」として設立されました(2014年に「伊那谷財団」に改称)。その背景には、地球環境の限界が見え始めるなかで、ふるさとで紡がれてきた自然とともに生きる知恵や技を失いつつあるという危機感がありました。

かつての伊那谷には、山や川、田畑と向き合いながら暮らすための技術や感性が息づいていました。限りある資源を大切に使い、自然と折り合いをつけながら、地域の営みを育んでいく知恵がありました。しかし、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とする社会の中で、そうした暮らしの技や文化は少しずつ失われてきました。

伊那谷財団は、こうした地域の知恵や技を未来へつなぐために、自然環境保全、循環型の暮らし、省資源・省エネルギー、リサイクル技術、伊那谷らしい風景の保全、文化伝承などに取り組む個人や団体を支援してきました。KOAの事業活動から生まれた実りを、ふるさとの自然や文化、人の営みへと循環させていく取り組みです。

企業が地域から人材や資源をお借りして、成長するのであれば、その成長の一部を地域の未来に還していくこともまた、企業の大切な役割です。そしてこれは単なる地域貢献、CSR活動ではありません。人材、知恵、自然環境など企業経営に欠かすことができない有形無形のさまざまな資源をもたらしてくれるふるさとの持続性が損なわれれば、いずれは企業の持続性も損なわれてしまいます。まさにKOAと伊那谷は運命共同体という深い結びつきの中で、地域と企業の持続性を共に高めていくふるさと経営の実践のために伊那谷財団は存在しています。

伊那谷というふるさとが、これからも豊かな自然と文化を抱き、人々が誇りを持って暮らし続けられる場所であるために。KOAは伊那谷財団とともに、未来のふるさとを育む取り組みを続けていきます。


社員一人ひとりが地域で実践する「循環・有限・調和・豊かさ」アクション

KOAでは、会社として地域や地球環境との共生に向けて取り組むだけでなく、社員一人ひとりが、自分たちの暮らしや住んでいる地域の中で、様々なチャレンジに取り組んでいます。

見えてきたのは地域の中での実践を通して、会社での業務にも生かせる知見や経験が積み重なっていくこと。

そんな社員一人ひとりの地域でのアクションをご紹介します。