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特に場所の指定がない限り、抵抗器に電力を印加した時に、抵抗器表面の最も温度が高くなる点(表面ホットスポット)の、周囲温度からの温度の上昇分を表します。
大多数のリード付き抵抗器は、抵抗器で発生した熱の大半を抵抗器表面から周囲空間に放熱するため、温度上昇は抵抗器が実装されているプリント配線板の材質やパターンの影響を受けにくくなっています。これに対して、表面実装抵抗器は、抵抗器で発生した熱の大半を抵抗器が実装されているプリント配線板を経由して放熱するため、温度上昇はプリント配線板の材質やパターン幅の影響を強く受けます。リード付き抵抗器と表面実装抵抗器では温度上昇の意味合いが大きく異なりますので注意が必要です。
図Aのようなグラフにより温度上昇が提示されている場合には、周囲温度から表面ホットスポットまでの温度上昇①は、周囲温度から端子部までの温度上昇②と、端子部から表面ホットスポットまでの温度上昇ΔThs-tの和となります。その様子を図Bに示します。ここで注意が必要なのは、抵抗器に固有の温度上昇はΔThs-tのみであることです。
端子部温度②はプリント配線板の材質、銅箔パターン幅、銅箔厚みで大きく変化しますが抵抗器にはほとんど依存しません※1。
同じ抵抗器であっても、より放熱性の良い基板や放熱性の悪い基板に実装すると、図Cに示すように、周囲温度から表面ホットスポットの温度上昇は変化するので、データを見る際には注意が必要です。
また、一般的に表面実装抵抗器の表面ホットスポットは非常に小さく、赤外線サーモグラフィーなどで温度を測定する際には、使用する赤外線サーモグラフィーがどの程度まで狭い領域の温度を正確に測定できるか十分に確認する必要があります。空間的な分解能が不足していると、表面ホットスポットの温度は低く測定されてしまいます。
弊社ではJEITA※2 技術レポートETR-7033※3 を参考に赤外線サーモグラフィーの性能を確認し、可能な限り正確なデータを提供しています。
※1JEITA技術レポートRCR-2114” 表面実装用固定抵抗器の負荷軽減曲線に関する考察”、IEC TR63091” Study for the derating curve of surface mount fixed resistors - Derating curves based on terminal part temperature”
※2 JEITA:一般社団法人電子情報技術産業協会
※3 ETR-7033:電子部品の温度測定方法に関するガイダンス(2020年11月制定)
ここでいう熱抵抗は、抵抗器に電力を加えた場合に特定の二点間に発生する温度差を、抵抗器に加えた電力で除した値です。
例えば、図Dのように、シャント抵抗器に電力P [W]を加えた場合に、表面ホットスポット温度がThs [℃]、プリント配線板の端子部の温度がTt [℃]になったとすると、表面ホットスポットと端子部間の熱抵抗Rthhs-tは以下の式で表されます。
弊社ではこの熱抵抗Rthhs-tを参考値としてご提示している場合があります。
端子部の温度Ttから表面ホットスポット温度Thsを算出する際には、端子部温度Ttを測定またはシミュレーションなどで求めていただき、以下の式をお使いください。
但し、一般的にはThsを使って抵抗器の使用可否を判断することはできないので注意が必要です。
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