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輻射は熱伝導や対流に比べると感覚でとらえにくい現象のため、無視されたり誤解されたりしやすい側面があります。しかし電子機器において輻射が果たす役割は小さくありません。自然空冷機器や部品では表面からの放熱量のうち20%程度を占めます。自然空冷着器では輻射を正しく理解し、活用することが重要になります。
輻射は物質を介さない電磁波による物体間の直接的な熱交換です。これまでの熱伝導や対流とはまったく異なる現象なのでまずは基本的なふるまいについて知っておきましょう。電磁波は物体の表面で吸収、反射、透過が起こり、複雑な伝わり方をします。
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輻射による伝熱量はプランクの法則によって定量化できます。すべての物質が絶対温度(K)の4乗に比例する大きさの輻射を行っています。温度が高いほど放射される熱エネルギーが増えると同時に放射される電磁波のピーク波長が短くなります。このため、800Kを超える高温物体は光を発し明るくなります。
輻射による物体間の熱移動は相互の物体の見え方(一方の物体からもう一方を見た時の大きさ)や双方の放射率に影響されます。物体が出した熱放射が相手にどれだけ届くか(形態係数)、多重反射によって相手にどれだけ吸収されるか(放射係数)など、係数の算出が必要になります。
黒く塗ると輻射伝熱量が増大して温度が下がるなど、色と放射率を関連付けて考える方が多いですが、色(5800Kの熱源から放出される光の吸収率)と放射率(300K付近の物体から放出される赤外線の吸収/放射率)はほとんど無関係です。
放射率は物体表面のごく薄い領域によって決まる状態値(物性値ではない)です。色よりもむしろ表面の粗さや油の付着、汚れなどによって左右されます。放射率は放射率計を使用して測定することができます。
電子機器、特にファンレス密閉機器などでは輻射による放熱量の割合が大きいため、表面処理などの影響を強く受けます。電子機器では輻射伝熱が主に2か所で起こります。実装部品から筐体、筐体から外気です。金属表面の筐体に実装した部品は放射率の高い筐体に実装した場合よりもかなり温度が高くなります。
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