KOA創立80周年

KOAは、2019年12月に “2030ビジョン”を決定しました。そのビジョン・スローガンは「小さな部品で豊かな世界を」。詳しい内容は別の機会に譲りますが、私が本当にうれしかったのは、平均35歳の若い社員の皆さんが、自ら手を上げプロジェクトに集まり、「KOAの“望ましい未来”って何だろう」という問いに、真剣に議論を重ね答えを出してくれたことです。
近年、地球規模で頻発している大規模な自然災害は、国際社会が取り組んでいるさまざまな地球温暖化対策を、一層加速させる必要性を示しています。KOAも抵抗器づくりをより深化させ、温室効果ガス排出量削減に貢献できる、機器の長寿命化や省エネに向け「高精度・高信頼性」分野で積極的な提案を行っていきます。
また、“Society 5.0”に代表されるサイバー(仮想)空間と現実社会を高度に融合させたシステムで、経済発展と社会的課題の解決を両立させるアプローチは、自動運転をはじめとしてすでに現実のものになっています。サイバー空間への入り口は言うまでもなく「センサ」。1年間に全世界で1兆個のセンサが使用される「トリリオン(兆)・センサ社会」も、もうそこまで来ています。KOAはこの分野でも基盤技術を進化させ、各種センサ、センサ・モジュール開発に注力していきます。
しかし、“2030ビジョン”の特長は、こうした時代の潮流を単にビジネスチャンスとして捉えるだけではなく、その変化の中でのKOAの望ましい姿を、KOAがずっと大切にしてきたことを踏まえて描き切ったことにあります。国際社会がめざす「持続可能な開発」とは、KOAの4つの価値観「有限、循環、調和、豊かさ」と同じ意味だと私は信じています。その価値観を共有し、実現に向けた社会課題解決に取り組むお客様の「困りごとの本質を見極め、想像を超える価値を提供」すると、ビジョンは言っています。KOAにとってなんと素晴らしい未来像ではありませんか。
この未来からのおくりものは、今社員の皆さん一人ひとりの手の中にあります。それを大きく結実させ、豊かな社会づくりをともに目指しましょう。


 

「歴史を忘れた民族や国に未来は無い」とはよく言われる戒めの言葉です。
この事は企業にも当てはまる真実だと僕も考えます。
「お蚕様」の養蚕農家と製糸工場で成り立っていた信州伊那谷を襲った昭和恐慌。日本の近代化が始まったといわれる明治維新から、凡そ六十年後のとても大きな出来事でした。
世界は、日本も含めて大不況に突入した「世界恐慌」に直面したのです。
多くの農家農民や地域社会を支えてきた、唯一のふるさとの産業であった製糸業の衰退が始まったのです。
長男を残して、実に多くの若者がふるさとを離れ大都市、都会へと職を求めて出て行かざるを得なかったのです。また、家族全員で「満蒙開拓移民」として中国東北部へと渡った人達も多くいたのでした。
「生まれ育ったふるさとに、製糸産業以外に家族全員を養っていける産業、働き口が他になかった」からなのです。
そんな疲弊していく農村の養蚕農家に生まれ育った青年が苦学力行して、二十六歳にして創業したのが当社の始まりです。ふるさと伊那谷に初めて電子部品事業を興したのです。
生活や社会・経済の基盤である農業・農村・農民の暮らしを守り、豊かにするために、家族の生計が工業によって成り立つ地域社会、伊那谷を創ろうと始めたのが当社の創業者の熱き想いでしょう。
「農工一体」の誕生でした。

それから八十年の歳月が流れました。

電子部品産業の一企業として、世界のマーケットで継続して経済活動・経営を行ってきています。
生まれ育った伊那谷や、それぞれの拠点の地域社会で、その社会の一員として相応しい活動を続けてきています。
惑星地球の生態系の一員としても、恥ずかしくないよう振る舞っていこうと活動中です。
一緒に働く仲間・家族の健康を願って、少々おせっかいをやき乍らも地道な活動も続けています。
これからもKOAは「ふるさと」と共に歩み続けます。