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端子部温度規定とは

背景

昨今、車載機器を中心に、電子機器の小型化、高電力密度化、使 用環境の高温化が進み、抵抗器への高温対応のご要求が増えてま いりました。図1は横軸を端子部温度とした負荷軽減曲線であり、 そのような表面実装抵抗器に対するご要求を安全に実現するため に提案されたものです。

横軸が端子部温度の負荷軽減曲線は、金属板タイプの超低抵抗値 の電流検出用抵抗器(PSB、PSEなど)ではすでに採用されてい ます。このような抵抗器はインバータやコンバータなどの大電流 の検出に使用され、近接したスイッチング素子からの熱や大電流 による銅パターンの発熱により、電流検出用抵抗器の端子部温度 が周囲温度とはほぼ無関係に上昇するような環境で使用されるこ とがほとんどであるためです。

この考え方を一般の抵抗器にも展開しました。

横軸が周囲温度の負荷軽減曲線の成立背景

JIS、IEC規格に定められた、従来の横軸が周囲温度の負荷軽減曲 線の考え方が成立したのは表面実装抵抗器が登場するはるか前、 真空管時代にさかのぼります。当時はプリント基板も無く、図2の ように、円筒形のリード付き抵抗器がラグ端子と呼ばれる端子に 空中配線されていました。

抵抗器で発生したジュール熱は抵抗器の形状に関わらず三種の経 路で放熱されます。一つ目は接触している端子などへの熱伝導で す。二つ目は自然対流や送風による空気への熱伝達を含めた対流 です。三つ目は赤外線の放射です。熱伝導は抵抗器と接触してい る他の物体の面積が大きいほど多くなり、対流および放射は抵抗 器の表面積が大きいほど多くなります。

円筒形のリード付き抵抗器をラグ端子実装した場合、熱伝導によ る放熱の経路であるリード線は細く長いため、熱抵抗が高く放熱 は良くありません。これに対して対流と放射は面積が広いため放 熱割合は熱伝導よりも大幅に増加します。シミュレーションで確 認しますと、円筒型のリード付き抵抗器の放熱は8割から9割が直 接周囲空間に対して行われていることが分かります。抵抗器の温 度は放熱先の温度に自己発熱による温度上昇を加えたものですの で、抵抗器の使用環境温度の基準としては周囲空間の温度が最適 であり、横軸が周囲温度の負荷軽減曲線がお客様に設計の指標と して提供されていました。

表面実装抵抗器の放熱経路

図3は現在の表面実装抵抗器の主たる放熱経路を模式的に示したも のです。表面実装抵抗器は表面積が小さいため、対流と放射は行 われにくい構造になっています。これに対して、プリント基板パ ターンへは比較的広い面積で接続されるので、放熱のうち熱伝導 の割合が非常に高くなります。試算しますと、対流と放射をかな り多く見積もっても、放熱の割合は、端子部を通しての基板への 熱伝導が9割を占めます。それ故、表面実装抵抗器の温度管理は、 周囲温度よりも基板との接続点であり、熱の主たる通り道である 端子部の温度が重要なのです。

表面実装抵抗器に適した負荷軽減曲線

図4の様に、抵抗器の温度は印加電力が同じならば周囲温度にかか わらず端子部温度を基準として同じ⊿Tだけ上昇します。抵抗器 表面から周囲空間への放熱はほとんど無いためです。

同じ周囲温度という環境下で同じ表面実装抵抗器に同じ電力を加 えても、抵抗器が実装されているプリント基板が異なれば温度は 同じになりません。端子部温度が変化してしまうからです。図5の 様に密集させた場合や他の発熱部品がある場合などは弊社で実施 するJIS、IEC規格に定められた周囲温度70℃での耐久性試験より も抵抗器が高温になる可能性もあります。

既存の、横軸が周囲温度の負荷軽減曲線は周囲温度70℃での耐久 性試験に基づいて作成されています。お客様が抵抗器をご使用に なる場合、電力的、温度的にマージンを十分にとってご使用いた だいていれば問題は発生しないと考えられますが、昨今の小型 化、高電力密度化、使用環境の高温化に伴い、お客様が機器設計 に際しマージンを削らざるを得ない状況になっていると推察しま す。合理的にマージンを削る方法が、今回ご提案する横軸が端子 部温度の負荷軽減曲線の利用です。弊社では耐久性試験を端子部 温度が定格端子部温度(用語の意味参照)になる環境で実施し、 その試験結果に基づき、表面実装抵抗器に適した負荷軽減曲線を ご提供致します。

横軸が端子部温度の負荷軽減曲線の使い方

以下に横軸が端子部温度の負荷軽減曲線を利用し、合理的にマー ジンを削り、抵抗器使用個数の削減、あるいはより小さいサイズ への置き換えを行う具体例を示します。
前提条件は以下の通りです。
① 基板周囲温度100℃
② 表面実装抵抗器の端子部温度120℃
③ 実負荷電力0.05W
④ お客様の内規によるマージン50%
横軸が周囲温度の負荷軽減曲線で、条件①③④より使用する抵抗 器の必要な定格電力を算出します。図6がその結果で、RK73Bで すと、2Bサイズ1つもしくは1Jサイズ2つという判定になります。

これに対して、条件②③④で新たに提案する横軸が端子部温度の負荷軽 減曲線を用いて選定しますと、1Jサイズ1つで問題ないという結果にな ります。

このように横軸が端子部温度の負荷軽減曲線を活用する事により、無理 なく抵抗器の使用個数を減らし、実装面積も縮小でき、コスト削減につ ながります。

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